職種について認識を深めよう

前回のアドバイスでは自己分析について述べたが、引き続き、自己分析と職種について考えて見たい。 自分が何に向いているのか、何をやりたいのか。就職活動を控えて悩む学生も多いだろう。今までの自分の人生を振り返ったり、大学での専攻に関連して考えたりしながら自己分析を行い、自分の適性を考えているのではなかろうか。自分の適性がぼんやりとでも判ってくると、具体的にどんな職種がいいのか、絞り込む作業が必要となる。適性と職種のマッチングであるが、これが意外と難しい。

営業職を例にとろう。営業というと、立て板に水のごとく話し上手、また押しが強く交渉上手、あるいは社交的でエネルギッシュなイメージで語られることが多い。実際、学生と面談していると、「自分は誰とでも仲良くなれる」、「人と話しをすることが好き」、なので営業ができますという人が多い。 しかし私の経験では営業職のイメージは若干異なる。

友人で外資系の生保の営業をしている人がいるが、もともとは管理系の仕事を長くしていた人で、口達者ではない。以前、生保商品の営業を受けたが、朴訥とした語りでエネルギッシュなイメージとは程遠い雰囲気だった。しかし、彼の話を聞いているとつい引き込まれてしまう。彼は説明しながら起用に図表やイラストをノートに書いて私に見せながら解説するのである。それが実に判りやすく、心に響いてくる。彼を見ていると営業に必要なもの、それは説明する力、相手に伝える力では無かろうか、と思えてくる。

ある時、適性テストを開発している会社の担当者と職務適性について議論したことがある。「営業適性で一番に必要なものは何ですか」、という問いに「小心者」という答えが返ってきた。言い換えると「心配性」ということ。営業というと豪放磊落なイメージもあるが、彼の答えはまったく逆の適性だった。つまり、お客様のことをあれやこれやと気遣い、ミスをしないように様々なリスクを想定して下準備や段取りができること、ということだ。彼の分析からは世間一般で持たれている営業のイメージからはかなり離れた営業像が浮かび上がってくる。確かに「誰とでも仲良くなれる」、「人と話しをすることが好き」、というのは営業にとって必要だろうが、それだけでは不十分だ。営業の仕事はもう少し奥が深いということだろう。

どんな職種があるのか。まずは職種探しから始めよう。たとえば大手の就職サイトのマイナビを例に取ると、マイナビに会員登録する際、希望職種を聞かれるが、50種類位ある。マイナビの営業職では法人向、個人向がありそれぞれ新規顧客メイン、既存顧客メインの分けがあり、営業だけでも4種類ある。これらがどう違うのかしっかりと押さえて欲しい。多少なりとも関心がある職種が見つかれば、深く掘り下げ、職務内容や必要な適性を把握しよう。 ここで頼りになるのがOBだ。自分が関心がある職種に就いている先輩がいたら、是非、話を聞いて欲しい。仕事内容を理解すると同時にその先輩の性格や行動パターンをしっかり把握して欲しい。そうすれば職種とその適性を知る手がかりが見えてくるはずだ。


« Vol 2.へ

» Vol 4.へ

PageTop▲